妻が海外赴任になったけど、僕はどうすれば?

アラサー夫婦の妻が海外赴任になり、ついていった夫のブログ。ロンドンでの生活も綴ります。

渡英して苦労した必須手続き

イギリスに移住したら、まずやるべきはNational Insurance Numberの取得と銀行口座の開設です。
どちらも仕事するために必要ですが、両方共一筋縄ではいかない手続きでしたので、その顛末をご紹介します。

  • National Insurance Numberの取得

英国での税金等の管理のため、National Insurance Number、NINoの取得が必要となります。
英語があまり得意でないけれどもイギリスに来た人は、まずここでスコットランド英語の洗礼を受けることになります。

NINoは、以下の流れで取得します。
電話で取得申請→郵送されてくる応募用紙に記入、返送→(場合によりJobCentreでインタビュー→)NINoが記入された用紙が返送される

困ったことにNINoは電話でしか取得申請が出来ず、かつ事務所がスコットランドにあるせいでこれまで馴染みのないイントネーションでかなり苦労します。
幸い、聞かれることは大体ネットに書いてあるので手元にメモを用意しておけば回答はなんとかできるでしょう。
相手が何言ってるかわからなかったら、恥を忍んで何度でも聞き返すしか無いです。
しかも事務手続きは正確でないので、電話したにもかかわらず書類が一向にこない、なんてこともザラです。


自分の場合も、一度電話したのですが2週間位音沙汰ないので改めて電話をかけましたが、照会用の電話番号はココ、という自動アナウンスが流れてブチッと切れてしまい、番号をメモるのにまた何回か電話をかける始末でした。
おまけにその番号にかけても昼間なのにオフィスがクローズしていたり・・・。

そんな色々なことがあってなんとか取得できました。
ただの事務手続きなのにやたらと苦労しました。

 

  • 銀行口座の開設

銀行口座の開設も、いろいろな人がブログで悲痛な叫び声を上げている通り、一筋縄では行きません。
困るのが、必須書類を揃えること。
銀行口座を開く際は、身分証及び住所証明が必要になります。
ネックになるのは住所証明。公共料金や固定電話、ローン等の紙の請求書が必要になります。

移住直後では自分名義の公共料金明細などなく、固定電話なんてこのご時世いらないしローンなんであるはずもありません。
単独でアパートに住んでいるなら待てば手に入るかもしれないですが、シェアハウスの人等では特に困ると思います。

ではどうするかと言うと、職場からのレターという手があります。
多くの人は雇用及び住所の証明を会社にレターとして起こしてもらい、それを銀行に提出するという手段を取っているようです。
自分もそれに倣って同様のレターを作成してもらいました。

が、家の近所のHSBC支店では雇用期間が短いこと(2ヶ月)を理由に断られました。
最低6ヶ月の雇用契約書を持って来いとのこと。
現在の自分は、所属している会社のお客さんの予算の都合上、短い契約をロールしている身分で、確かに不安定な職に見えます。

しかし、試しに他の支店にもう一度持っていって見たところ、「OKよ!」とのことであっさり通りました。
そして予約を取って諸々の手続きをして晴れて銀行口座開設完了!・・・かに見えました。

手続完了から1週間後ぐらいに、窓口で担当してくれた行員から連絡が届き、「あなたの住所証明の書類(会社からのレター)はセキュリティ部門の審査にはねられました。フルタイムの契約書か、公共料金等の明細を持ってきて下さい。」とのこと。
こんなこともあろうかと、最初の支店で住所証明を断られた段階で電気料金の請求書を夫婦連名に変えて再発行してもらっていたので、その書類でどうにかなりました。

イギリスでは銀行に関する法律が厳しい+外国人ということで警戒されて手続きが煩雑なのかと思います。
苦労はしましたが、晴れてデビットカードも手に入れて現金だけの生活から脱出することができました。

さぁ転職活動だ その2

渡英に際して現在の仕事は退職してしまうので、先に書いた通りロンドンでの仕事を求めて活動中。
今回は前回書いた以降の進展を記載したい。

johnsmith-uk.hatenablog.com

 日本でロンドンの仕事を探してみての感想

リクルートエージェント
「ご紹介できる見込みの案件が1,2件となると思います」とのことだったが、結局ゼロ。
海外の関連会社経由で紹介させてもらいたい、という提案を受けていたがそっちを含めても紹介無し。
海外案件の紹介には弱い様だ。

JAC Recruitment
実際に求人のある会社への応募や、JACの担当者が自分の経歴を基に売り込みをしてもらった結果面接となることが出来た。
日本にいる間は各企業1−2回Skypeで面接を実施し、渡英後に顔合わせを行う。
自分と先方企業の自己紹介を行いつつ、どんな職種であるかといった話を聞く。
自分のITという職種柄かもしれないが、「プロジェクトが受注出来たら発生」する求人が多め。そのため、企業のマッチ感が良くても仕事が発生しない不安がある。


・CentrePeople
渡英したら登録して職探しをしようと思っていたのだが、縁があって先方担当者と話をする機会に恵まれたので日本にいる間から案件を紹介してもらった。
CentrePeopleに来ている求人から、自分の経歴に合うものを紹介してもらった模様。
JACと同様、各企業と1−2回Skype面接を実施し渡英後に顔合わせ。
担当者のレスポンスも良く紹介される求人数も多い方なのだが、延長前提とはいうものの有期契約の仕事がほとんどで、かつ給料が安い仕事が多い印象。(〜35,000ポンド程度)
イギリスは物価も高いし、何より渡英前の年収から考えるともう少し欲しいのになぁ、という思いは拭えない。
経験を買うと思って、とりあえず働いて転職を狙ってもいいのかもしれないが。

この点は、先方担当者によると「海外で働いた実績が無い人だと、どうしてもお給料は下がってしまいます」ということであるが、その他のエージェントでは同じ条件下でこれまでの年俸を踏まえた交渉をしてくれている。
担当者のさじ加減なのか、そもそも安めの求人取扱がメインなのか、本当にそういうものなのかはよくわからない。

結果として

幸いなことに、渡英から間もないが仕事の方は決まりそうである。
縁故採用されたわけではないが、新しい職場は過去に自分が働いた人々とも多少の縁があり、巡り合わせというものを強く感じる。
過去に手を抜かずに頑張った結果は、恐らく先方社内での人物リファレンス結果として現れている様だ。
運命というものを感じずにはいられない。

渡英しました

2016年8月、渡英完了しました。

6月から家内が先にイギリスに来ていたので、住居等の問題は特に無く、旅行でそのままホテルに来るイメージで我が家に来ました。

とはいっても海外で暮らすことは初めてなので、右も左もわかりません。
今後色々書いていければと思います。

ついていくのか、別居するのか

海外赴任というもの

海外赴任ということ自体は世の中に珍しくはなく、商社だったりメーカーだったり銀行だったり、ある程度の規模の企業であれば一般的に起こりうることだ。
しかし、海外赴任という単語を聞いてまず思い浮かべるのは男性が赴任するケースではないだろうか。
自分の知る限り、既婚の女性に対して海外赴任の辞令が下るケースというのはかなり限られてくる。かなりの強い希望を持っている場合などだ。
そして既婚男性の赴任のパターンのほとんどは、女性側が退職をして同行するケースで、残りが単身赴任とするケースだ。

さて、我が家では?

当然我が家でも同行か、別居か、という議論をしなくてはならなくなった。
妻の要望は至ってシンプルで、「私は辞令を辞退することはなく、ロンドンに必ず行く。そして、あなたにもついてきて欲しい。前任者の任期が5年だったが、5年も離れ離れで暮らすのは避けたい。」ということだった。

ちょうど辞令が出た4月頭は、タイミングの悪いことに自分の転職活動の真っ最中だった。
自分の望む方向に変えようとしていたキャリアを一旦諦めて、ロンドンでの仕事を探す必要が出てくる。さらに、選考途中で自分都合で辞退した企業は、今後もう二度と選考を受ける機会がなくなるのではないか気がかりだった。
このまま転職活動を続けて、新しい企業のロンドン支社への赴任希望を出すことも可能ではある。そう安々と希望通りに行くかは全く分からないが。

一方で、妻の希望もよく分かる。
英語がネイティブレベルで、古い体育会系的な日本文化が大っ嫌いの自由人派な妻は予てより海外赴任を希望していた。
異動の度にカビ臭い体育会系気質の蔓延る部署にならないか戦々恐々としていた身としては、ロンドン赴任とはまさしく渡りに船である。
だから、妻が赴任するのは大賛成で、なんの異論もない。
やはり問題は、自分がどうするかだった。

悩んだ結果

時間にして大体1週間ほどあれこれ悩んだ結果、自分は着いて行くことを前提にロンドンでの仕事を探すことにした。
不安だったことについて、キャリアアドバイザーなり先輩方なりにヒアリングをして、不安に思う必要があるのかどうかを洗い出した所、そこまで不安を感じなくてもいいのではないか、と思えたからだった。

■不安だった所

  • 自分のキャリアはどうなるのか?
    (回答)
    キャリアについては、ロンドンに行くにせよ行かないにせよ、自力で作る必要がある。
    ロンドンに行った場合、英語に堪能になることが出来ればバイリンガルとしてキャリアを広げることが可能にもなる。
    日本で転職してからその企業のロンドン支社を目指すのは、博打になる。
    結論からすると、ロンドンで仕事が見つかるならばキャリアにはむしろプラスとなりうる。
  • 戻ってきた時に大体35歳前後、その時に日本で職を見つけることに苦労しないだろうか?
    (回答)
    業界ごとに傾向は異なり、かつケースバイケースとしか言えないが、自分が属している金融/ITの分野ならば仕事が見つからないことはそうそうない。
    但し、35歳ぐらいからポテンシャルが評価されるよりは即戦力としての評価が求められるため、次の仕事でどのようなことをするかは重要になる。
  • 今の転職活動で受けようとしていた業界内での大手企業は、二度と選考を受けられなくなるのではないか?
    (回答)
    そのようなことはない。日系企業であっても、仮に選考に進んで不採用になったとしても、もう一度別のポジションで選考を受けることは可能。もちろんポジションに応募出来る相応の理由は必要になるが、スキルのミスマッチという範囲で不採用になったならば、マッチする他の所では採用の可能性はある。
    但し、基準は不明だが企業なりの人間性評価でアウトになった場合は、応募しても書類選考を通過できない、という事も有り得る。

以上をまとめると、いい仕事に巡り合えればキャリアとしてはむしろプラスとなる。
そして、日本にいる段階でも仕事を探すことは可能であり、実際に自分のバックグラウンドにマッチする仕事が出てきたので、ロンドンに行くのもアリなのではないかと思うに至った。

着いていこうじゃないか

自分の中で大体まとまったある日、ロンドンに行く決意が出来たことを妻に伝えた。
妻は大喜びし、さらに軽く涙ぐむくらいだった。これは自分にとっても予想外のリアクションだった。
向こうの中でも自分が来るかどうかはかなり大きい問題だったようだ。
世の中の旦那諸君は、海外赴任になった奥さんの話はよく聞いてあげよう。言えなくてモジモジしていることが色々あるかもしれない。
自分の不安も大事ではあるが、海外に行けと命じられている本人も色々な緊張に面しているのである。

こうした経緯を経て、本格的に転職活動をすることになった。
これまでの選考を辞退することについては、キャリアアドバイザーに伝えること自体心苦しかった。
しかし、その担当者を通じてロンドンのキャリアドバイザーの紹介を受けることも出来た。
こうして転職活動の始まりに続く。

John Smith

さぁ転職活動だ

転職活動を開始した。

日本でロンドンの仕事を探す

その1:リクルートエージェント。

最大手のリクルートのうち、3ヶ月間担当がついて諸々のサポートを行ってくれる所。
「ロンドン 転職」とかでググると広告の筆頭として表示される割に、「ご紹介できる見込みの案件が1,2件となると思います」とのこと。
自分の経歴があまり魅力的でないだけなのかもしれないが、正直1,2件じゃあ登録とかの労力に見合うものではない印象。

その2:JAC Recruitment

企業としての発祥がロンドンであるJAC Recruitment。
法律的に日本の法人がロンドンでの仕事を直接紹介してはいけないそうなので、日本で登録してもJAC UKの担当者を紹介されることとなります。
日本の担当者とは過去にコンタクトを取っていたので、経歴書や志望業界等の連携はスムーズに終わってロンドン在勤の日本人担当者の方から連絡がきました。

リクルートと違い、まずは自分の経歴にハマりそうな求人を2つほど紹介してもらっており、その他希望を伝えて色々探してもらっている状況。
このエージェントは、企業からの求人をもらうだけでなく、登録者の経歴がマッチしそうな企業への「提案」という形で採用を働きかけてくれる。
さすがロンドン発祥の人材紹介会社であるな、という印象。
UK版のHPに記載されている求人にはないものなので、非公開求人をたくさん抱えているかと思われるので、日本国内にいる間でもコンタクトを取る価値はある。
なお、紹介してもらった2案件のうち、片方は日本国内で内定まで完結するもの。

今後の追加の紹介、案件の進行に大いに期待。

ロンドン現地で仕事を探す

日本で就活が完結しなかった場合、または後で現地で仕事を探す場合、これらのサイトが有名な様である。

その1:CentrePeople

検索で仕事を色々検索できるが、サラリー水準が総じて低めに見える。
とはいえ、非公開求人もあるだろうと思われるので、必要の際は登録してみたい。

その2:People First

http://www.people-first.co.uk

なぜだか埋め込み表示にならないが、とりあえず表示。
Center Peopleとほぼ大差ない印象。
日本国内にいる間でも登録が出来るようだが、まだ必要なさそうなので今後必要に応じ登録の予定。

エージェントの見極めポイント?

自分にとっていい転職エージェントを見極めるには、以下のポイントを把握すると良いと感じる。

  1. レスポンスは速いか?
    ちょっとしたことにも反応が遅いのは、まずフィルタしていいと感じる。
    紹介から応募までずっとスローな感じでは、望んでいないなら避けて良い。

  2. 提案を行える会社か?
    上記JAC Recruitmentの所で触れている通り、求人を今だしていなくても関係のある会社へ提案が出来るかどうか。自分が応募できる可能性の幅が広がるので、こうしたことが行えるエージェントの方が質が高い蓋然性は高い。

  3. 成功報酬型か、特命型か?
    成功報酬型=採用に至った人の年収30%等、採用に至った場合に報酬を得る体型。
    特命型=予めお金をもらって人を探す体型。
    当然前者が主流で後者は多くはないが、後者をやっているエージェントであれば、それなりの信頼があるからこそ企業がそのエージェントに依頼するため、ある程度質の高さを想定して良いと思われる。

  4. こちらの事情を慮れるか?
    以上まででなんとなく会社を見分けたら、後は案件をどうこちらに持ってきてくれるか、である。
    それは、こちらの現状、キャリア志向を慮ってくれるかどうかに尽きる。
    例えばLinkedInでも、転職直後でもやたらとJob Descriptionを投げつけてきたり会いましょうと言ってくるエージェントは多数いる。
    しかし、たまに「転職直後だと思うが入社して違和感はないか、今後のキャリアの方向について話をしないか」という一言を添えてくれるエージェントがいる。ちょっとプロフィールを読んでくれるだけでわかる情報なのだが、絨毯爆撃しているエージェントではこうはならない。
    過去にこうしたエージェントについてもらった時は、レスポンスもよく、なぜこの求人を持ってきたのか、を完結に明確に言ってくれる素晴らしい担当だった。台湾出身の女性であったが、彼女がLinkedInで他の人からも推薦文が書かれている背景が伺えた。

こうした人で、さらに1〜3までの条件に合致していれば大半の場合有益な話が出来ると思う。
例えば、狙うポジションでの具体的な能力水準、面接の具体的質問事項等、実践的な話をすることが出来ると思われる。
自分の場合、金融機関での開発者はどういった能力水準なのか聞いたら、Javaならザインパターンを一通り使えること、UNIXベースでシステムリリースの手順が作れること、等かなり具体的な話が出来た(ちなみに自分はそうしたバリバリのエンジニアでないのでそのポジションを諦めるきっかけになったが・・・笑)

自分はこれまで1度の転職と、1度の転職未遂しかしていないので、ツッコミや違った見方があれば大歓迎である。

追伸
Bizreachも使ったほうが良いのかもしれないと思いながら、まだ登録していない。

情報収集のための情報収集

何がわからないのかよくわからない

情報収集が大事、とはよく聞くものの、集めるべき情報さえもよくわからない。
何を調べたらいいかもよくわからないままGoogle検索をすることになる人が大半と思われる。
そこで、自分が調べたことで有意義であったものは紹介しておこう。

まず最初に

鉄則は、同様の経験をした人に実際に話を聞くこと。
インターネットは便利だが、情報が断片的になりがちである。
情報をネットに書く方も一連の流れを全て1つのページで書くことは面倒だし、しかし読む方はあちこちページが飛んでいると読むのが面倒である。
(このブログにも言えることだが・・・)
また、断片的な情報を一つ一つ噛み砕いて繋げる作業は中々骨が折れる。
百聞は一見に如かずという言葉もある通り、経験者に直接話を聞くのが最も良い。
なお、その際は感謝、御礼を忘れずに!

ビザについて

留学生向けだが、内容が整理されていて参考になった。
ざっくり言うと、Tier2と呼ばれる、一般ビザが貰えればベストである。
イギリスにある企業がスポンサーとなって発行してもらえるが、もちろんハードルは低くない。

なお、イギリスは配偶者ビザでも就労可能であるので、Tier2ビザを持った配偶者(自分の場合は妻)がいれば、まず現地に行って就職活動をし、決定したらビザを発行してもらう、という事も可能な様だ。

就職について

海外での就職の仕方について、パターン別に詳細な紹介があるのでとても参考になる。
エージェントも紹介されているので、自分もこうした所へ今後コンタクトを取ってみる予定である。
その顛末については別途まとめてゆく。

同じような経験をした人のブログ

男女が逆だが、要は自分と全く同じパターンの方のブログ。
ざっくりと面接の顛末まで書かれているのでより具体的なイメージがつくと思う。
ただ、書いてある通りにケースバイケースなので自分で色々当たってみるしかない、ということになる。

QAサイトの内容を参考にするのはやめた方がいい。せめて1年以内の情報を。

雑学から仕事まで色々助かるのがヤフー知恵袋に代表されるQAサイト。
上記QAも情報が非常に多く、一見すると有益な情報にも見える。
しかし、よくよく見ると2002年の質問だ。現在の2016年とのブランクは14年。
これだけあれば国の制度も事情も変わるので、あまり情報を鵜呑みには出来ない。
また、アンサーの好みも多く、悪意を持っているとしか思えないような回答があることさえある。

雑多だが、現在参考として残してある情報は大体この通り。
他にも出てきたら随時新規エントリーで紹介して行きたいと思う。

John Smith

発令の日の話し合い

4月1日という日

2016年4月1日、2016年度の初日である今日は多くの日本企業で人事異動が発表される。
保守的な大企業においては、2月頃からボス達の動きを見て人事異動の噂話がまことしやかに行われるのが通例となっている。
部長が部長室にこもって電話をしている、電話の後次長に呼びつける、なんだか不自然な仕事の引き継ぎを命じられる、こうしたものは格好の噂のタネとなる。
ほとんどのそうした話は無益な話だとわかっていてもだ。

一方、自分は数年前に転職して以降、大して大きくもない会社であったためこうした動きとは無縁となっていた。小さい企業においては会計年度といった区切りよりもプロジェクトの終わりといった実務側での区切りの方が大きな意味を持っている。人の配置なんてものはプロジェクトの終わりに合わせてお偉方で調整されるのが常だ。
ちょうど自分も昨年度で所属していたプロジェクトが終了し、社内の別のプロジェクトにアサインされることとなっていたため、少し緊張した4月1日を過ごしていた。

発令は突然に

プロジェクトのオリエンテーションのためのMTGを待っている折、妻からの着信でiPhoneが鳴った。
「もしもし?ロンドンに内示が出た。どうしよう。」
「本当に?あー・・・それは・・・偉いことになったね。」
「今まで仕事のカウンターになってた人の後任なんだって。ついこの前の部長との年度末ミーティングではまだ早いとか後1年はここで経験を積めとか言ってたくせに、その時もうオファー来てたんだって。とんだタヌキだよね!」
「とりあえず色々と話して状況を整理したい。帰ったら家族会議だね。」

これは大変な事になった。
妻のネイティブレベルの英語力や、海外拠点との仕事ぶり、本人の海外希望を踏まえるといつか来るだろうことは予想していたが、具体的なアクションプランなんて何もない。
妻が赴任すること自体に異議はないが、一体自分はどういうふうに働けばいいのだろう?

家族会議

開発環境のセットアップという、ITの仕事で新規プロジェクトにアサインされたらまずやるような仕事をとりあえず終え、その日は帰路についた。
帰り道から妻と合流し、夕食を食べながらとりあえず分かっていることだけでも色々話し合った。

「発令ってのは急なものだけど、本当に急に来たなって気がするね。」とりあえず当たり障りの無い切り出しから話は始まった。
「キャリア的にはめっちゃ行きたいんだけど、夫と離れ離れの生活は嫌。」
妻らしく、ストレートに結論から飛んできた。

「ロンドンに行かないという選択肢はナシだよね?となるとロンドンに職を見つけるか、主夫として行くしかないかな。しかし主夫だと日本に戻ってきてからキャリアを再開出来るのかわからないね。5年も経ったら30代後半だけどスキルは今から停滞することになる。」
「ロンドンで就活だよ!」
「簡単に言ってくれるけど、日本にいながら出来るのか、英国にわたってから探す方が普通なのか、わからないことだらけだ。まずはどういった手段が取りうるのか、状況を整理しよう。」

帰宅後、話しながら状況をまとめたのが以下の表である。
(グレーアウトされた項目は選択肢に含めないもの)

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「とりあえず書けることは書いたかな。でも、果たしてこれでまとまったんだろうか?」
まとめてみたものの、まとまらない心持ちが継続している。
「とりあえずやるべきこととしては、ロンドンで職を得る場合にどのような手段があるか、だ。フリーランスの話は現実的でないかもしれないし一旦おいておこう。過去に転職した際のエージェントが海外求人も手がけてるそうだから、週明けにコンタクトを取ってみることにするよ。」
正直、今日はこれ以上考える気分にならなかった。

「そうしよう。何かわかったら教えてね。それと、ごめんね、巻き込む感じになっちゃって。色々考えてくれてありがとうね。」
妻は要求はストレートだが、こうしたフォローも良くしてくれる。
「ありがとう。とりあえず今日の所はもう寝よう。」

John Smith